遺言の存在は分かるが、内容を秘密にしておきたいとき
秘密証書遺言は、遺言の内容は秘密にしておきたいが、遺言の存在は明確にしておきたい場合に利用します。秘密証書遺言の場合、遺言書の作成の際に公証人や証人に内容を見せるわけではありませんので、内容の秘密は守られます。また、秘密証書遺言の作成手続で公証人が関与するので、公証役場を通じて、遺言書が存在することを確認することができます。
ただ、遺言書自体は遺言者本人が保管しますので、遺言書の存在が確認できたとしても、遺言書自体がどこにあるのかは、探さないと分かりません。さらに、遺言書が見つかった場合、家庭裁判所による検認の手続が必要となります。
以上のように、秘密証書遺言は手続が煩雑なわりに、遺言内容の実現の確実性が弱いため、年間利用件数も100件程度ときわめて少なくなっています。
公証人や証人にすら、遺言の内容を絶対に知られたくないという特別な事情がある場合を除いては、公正証書遺言を利用したほうがいいでしょう。