遺言で財産の相続人として指定されていた者がすでに死亡していた場合、その財産はどうなるのですか?
対象財産について遺産分割協議を行う
民法では、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」と定めていますので、遺言者より前に財産の引継ぎ者として指定されていた者が死亡したときは、その遺言事項は無効となります。
したがって、対象となる財産については、引継ぎ者がいないことになり、法定相続人による遺産分割協議を行って、その財産を引き継ぐ方法を決めることになります。
対象財産について遺産分割協議を行う
民法では、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」と定めていますので、遺言者より前に財産の引継ぎ者として指定されていた者が死亡したときは、その遺言事項は無効となります。
したがって、対象となる財産については、引継ぎ者がいないことになり、法定相続人による遺産分割協議を行って、その財産を引き継ぐ方法を決めることになります。
内容の抵触している部分は後の日付が有効
まず、複数の遺言書が見つかった場合、公正証書遺言以外は、家庭裁判所で検認手続を行う必要があります。
次に、見つかった遺言書の内容を比較し、内容が抵触している部分があった場合(たとえば、同一の不動産について、相続人の指定が異なっている場合など)、遺言書が作成された日付をチェックし、後の日付の遺言が有効となります。なお、前の遺言については、抵触する部分についてのみ撤回したものとみなされるのであって、前の遺言のすべてが無効になるわけではありません。
したがって、複数の遺言書が見つかったとしても、どの遺言にも抵触する部分がなければ、すべての遺言が有効になります。
相続手続に支障がでる
不動産の相続登記(名義変更)を行う場合、検認済みの遺言書が必要ですし、預金口座の名義変更の場合にも、検認済みの遺言書の提示を求められます。このように、遺言書の検認を行わないと、相続手続に支障がでます。
検認手続が必要なので開封しないこと
公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所による検認手続が必要となります。したがって、自宅に限らず、どこで遺言書を見つけたとしても、開封してはいけません。また、封のされていない遺言書についても、検認の手続は必要となります。検認の申立ては、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に行います。
なお、遺言書を開封してしまった場合でも、家庭裁判所で検認の手続をとれば、その時点での遺言書の状況が確認されることになります。
公証役場で遺言書の有無は確認できる
秘密証書遺言は、公正証書遺言同様、公証役場の遺言書検索システムを利用すれば、遺言書の有無を調べることができます。ただ、遺言書自体を公証役場で保管しているわけではないので、遺言書の原本は自筆証書遺言と同じように相続人が探す必要があります。
なお、自筆証書遺言と異なるのは、自筆証書遺言の場合は、遺言書が存在するかどうかについて調べようがないのに対し、秘密証書遺言の場合は、公証役場で遺言書の存在の有無が確認できるという点です。
自宅で保管していたとは限らない
自筆証書遺言は遺言を書いた本人が保管していたので、生前、誰かに遺言書の保管場所を伝えていない限り、相続人が遺言書の保管されていそうな場所を探すことになります。一般的には、次のような場所に保管されていることが多いようです。
・ 自宅の金庫、書斎机や仏壇の引出し等
・ 取引金融機関の貸金庫
・ 親しい友人、知人への保管委託
なお、遺言書が見つかった場合、家庭裁判所による検認手続を行う必要がありますので、勝手に開封しないようしてください。
公証役場で照会できる
公正証書遺言の原本は、公正証書遺言を作成した公証役場に保管されています。そして、公正証書遺言に関する情報はデータベース化されていますので、遺言書の検索システムを利用すれば、どこの公証役場で作成したものであっても検索することができます。検索システムで分かるのは、遺言書の有無と遺言書が保管されている公証役場です。なお、公正証書遺言の検索、謄本請求ができるのは、遺言者の死亡後に限られます。
公正証書遺言の照会方法と入手方法は次のとおりです。
① 公正証書遺言の照会方法
② 遺言書の入手方法